[ 2009年 03月 ]

03月09日 (月)   

昨日の日曜日には、一時帰国されている川原さんと会ってきた。
昨日は長崎大学が主催している熱帯感染症と「たたかう」という催しが、上野にある国立科学博物館で催されていて、その公演の最後に川原さんが講演した。

僕は昨年の11月以来の再会で、また改めて講演と現在の活動をお聞きした。
そして先週3月4日には、彼が活動しているアフリカ・スーダンのバシル大統領に対して、ICC(国際刑事裁判所)が逮捕状を発行した。経緯に関しては、昨年の7月20日の日記を見てほしい。

そしてスーダンで活動するNGOの10団体に対して国外退去の方針が出たらしい。

川原さんのロシナンテスもNGOである。今後の活動に少なからず影響も出てくるだろう。
しかし今のところロシナンテスに関しては、国外退去の判断は出てないらしい。

しかし・・・より困難な道が予想される。
僕も引き続き今年もタイミングをみてスーダンでの川原さんの活動を追っていく為に渡航しようと思っている。

ただ、その動向を見ながら視点がぶれないように、ただただ真っすぐに取り組みたいと思う。

そして今月のTOP写真は、北極圏にあるスピッツベルゲン島の写真である。
やはり北極圏だけあって、6月だけれど氷河と冬の感じの写真。
しかし確実に氷河は溶け出し、崩れて・・・薄い氷が漂流していた。

この写真は、やはり地球温暖化を表しているのだと思う。
いづれ北極の氷がなくなる日が来るのかもしれない・・・そうするとますます気候変動は激しくなると思う。

スーダンにしても、この写真にしても僕は大きな視野で捉えていきたいと思っている。

そして下の写真は、日本の何処にでもある小さな森の写真。
僕は、この森に度々入って、春の山菜採りや野鳥の声や森の空気を吸ってきた。

やはり僕はここに居たい・・・穏やかに素晴らしい四季のある日本の美しい姿。謙虚な暮らし。
どんな物質文明よりも穏やかで清々しい時間と風が流れている場所。

ぼくは、このベースがあるから生きていける。そして砂漠化しているスーダンや氷河が解け始めている北極圏も見つめる。

このなにげない美しい森が、後世に残していけるように・・・あくまであきらめないで生きていく。写真を撮り続ける。
そして・・・美しい美しい労働をしている手。
ぼくは、やはりこんな生き方と労働に敬意を持つ。
これからの日本は経済大国だけではなく、自分の身体と心を使って謙虚な暮らしぶりを見つめ直すことが必要だと思う。
これは、スーダンに行っても痛烈に感じていること。
不安定な心を持ちながらの仕事よりも確実に生きている実感を味わえる生業(なりわい)・・・素晴らしいと思う。

03月14日 (土)   

・・・気持ちが重いのである。

先日の日記でもお知らせしたように、スーダンのバシル大統領に対して、ICC(国際刑事裁判所)が逮捕状を発行された。
そしてスーダンで活動するNGOの10団体に対して国外退去と記したが、すでに13団体に増えた。

その中にはダルフールで活動をしていた国境なき医師団も含まれている・・・そしてそのスタッフが誘拐されたらしい。

ますます混沌としていくスーダンでの情勢・・・今回、国外退去とされている団体は主にダルフールで活動をしているNGO。

今後、数百万に及ぶ難民やダルフールの人たちへの支援物資が医療支援が出来なくなる。
容易に・・・これからの惨劇が予測されていく。食料が途絶えた事による大量の餓死、そしてマラリアや栄養失調による大量の死。

ICC(国際刑事裁判所)の判断はほんとうに正しいのだろうか?
バシル大統領へ逮捕状が出される以上・・・アメリカのブッシュ元大統領にも逮捕状が出していく必要があると思うのだ。
ラムズフェルド元国務長官の責任も・・・そうしてバシル大統領への逮捕状であれば納得できるというものだが・・・
なんだか、例によって弱いものいじめの感じがしてくる。
スーダンもバシル大統領も、こんな一方的なやり方では姿勢を硬化していくのに決まっている。
逮捕状だけ出して混乱を起こしただけで、ダルフールの人たちへの支援が途絶えてしまい結果的に多くの死者を出すことになりかねないと思うのである。

アメリカもロシアも中国もアジアのほとんどの国もICC(国際刑事裁判所)に参加していない。
アジアの中では、日本、韓国、カンボジア、東ティモールだけである。
沢山の矛盾をまだまだ抱えているICC(国際刑事裁判所)の判断により、結局は一番弱いダルフールの人々が生命の危険にさらされている。
世界のルールの確かな判断のもとに発行されていく逮捕状であれば、なんとしてもという感じなのだが・・・。

なんだかますます矛盾を抱え問題を大きく曲がったところに持っていかれているような気がして、気持ちが重いのである。

参考までに今日は、いろいろリンクを貼ってみる・・・覗いてもらって感じてみてください。

 ICC(国際刑事裁判所)に関しての『ウィキペディア(Wikipedia)』

 外務省 ICC(国際刑事裁判所)関連

 国境なき医師団 ダルフール関連記事

 ユニセフ ダルフール関連記事

そしてロシナンテスのホームページの川原医師のブログとスタッフが書き記している「ロシナンテ」たちのブログに、現地からの生々しい現状が、ほぼ毎日のように更新されています。

 「ロシナンテス」ホームページ

毎日、刻々と状況が悪化していくのを感じ・・・春のうららかな感じとは違って深刻に受け止め心が重い毎日を送っている。

03月15日 (日)   

昨日の日記を読み返していて言葉足らずのところもある。

やはり詳しくは昨年7月20日の日記を見返してほしい。http://www.junji-naito.com/contents-menu-Daily2008.07.html

ぼくは裁きは平等であってほしいと思うだけなのである。
しかし思いきり矛盾に満ちた国際社会に国際ルール・・・強いものが弱いものを牛耳っていく。
しかし昨年7月20日の日記にも書いたけれど、スーダン政府やバシル大統領のもとで難民や紛争があることも確かである。
そしてその紛争や長く続いた内戦で国内全土に渡ってまだまだインフラは整っていない。
スーダン政府やバシル大統領が、NGOを国外に追放するのであれば数百万にも及ぶ難民キャンプの人々やインフラが整っていない国内の自国の民に対して食糧や医療を提供するべく動いてほしいと思うのだ。

それがこれまで出来ていないから国連や国際NGOが入って人道支援をしてきたはずなのだが・・・
ICC(国際刑事裁判所)も、なぜ? 混乱が起きることがわかっていて逮捕状を発布したのだろうか?

そして、この政治的?駆け引きの中で、真っ先に犠牲になっていくのは一番立場が弱い女性や子供たちということ。
そのことだけが先が見えない中で唯一確かに言えること。

今日も引き続き・・・リンクをひとつ

 外務省 国外退去に関するNGOについて

日本のNGOには現在のところ国外追放の情報はない。規模が小さいからなのか? 
主にヨーロッパの大規模なNGOに対して・・・然るにダルフールの難民に及ぼす影響は大きいと思う。
ユニセフ(国連児童基金)の支援もWFP(国連世界食糧計画)の食糧支援も国外追放されたNGOとの連携によって現地に運ばれていた。
上の写真は、すべて昨年の10月に撮影したダルフールのAbShook難民キャンプで出会った子供たち。
2004年5月に開設された。5万人の難民が生活している。

今回のNGO国外追放・・・食糧が届かない、医療が受けられなくなる。

真っ先に影響を受けるのは、この子供たち。
引き続き、北ダルフール州都・エルファシール市内で・・・靴磨きをしている少年
外気温は50℃を超えている・・・街角に普通に見られる光景。
北ダルフール州、エルファシール教育病院にて 2009年10月撮影

難民キャンプから運ばれてきた水頭症になった乳児 危篤状態で個室で診療を受けていた。
しかしダルフールの病院での診療・手術は無理だということ・・・首都ハルツームまでは約1000km
空輸で搬送したいが乳児の身体が搬送に耐えられないだろうということだった、ましてや搬送に掛かる資金もない
ただただ静かに見守るしかない現実。
暗くなってしまうかもしれないけど、今月は引き続き・・・スーダンのことを書き綴っていこうと思っています。
これは僕の気持ちとしては、現地で活動しているロシナンテスへのエールです。
そして現地で活動しているすべての人々へのエールです。
見過ごされがちな遠い世界での出来事なのですが、すべては繋がっている。
僕も少なからず縁がありスーダンのことを伝えていくことが使命でもあるし責任でもあると思っています。

どうぞ・・・みなさんもBBSに感想を書いてください。暗くて重い話題なので、何を書いていいのか?
わからないという感じだとは思いますが、ほんの一言でもいい。何でもいいので・・・ぜひBBSに皆さんの想いを書き込んでください。

僕は、それをスーダンにいるロシナンテスのスタッフたちに届けたいと思っています。そのことが彼らの励みになると思うから・・・。

明けて今日は、一時帰国されていた川原医師が再びスーダンに向けて旅立ちます。
国外追放のNGOの騒ぎの中、彼はスーダンに入国します。果たして入国が許されるのでしょうか?

そして入国が許されても、彼らの活動にはあらゆる面での支障が予想されます。
僕もタイミングを見計らって、カメラを持って入国できるのであればスーダンに渡航したいと思っています。
あくまで争いを表現するのではなく「ひとりひとりの生命を救いあげていく」ことを撮影していく為に覚悟を持って渡航したいと思っています。

03月23日 (月)   

先日の日記でスーダンのことを書いて思わず熱くなり・・・長くて重い文章になってしまった。
しかしまだまだ現地の声に耳を傾けながら、じっと見守り続けようと思う。

さてさて、約1年ぶりに「アエラ」での掲載が決まった。今日付けでNEWSを更新したので、ぜひチェックしていただき見ていただきたいと思う。発売日は3月30日(4/6号)となる。今回は川原医師の医療ではなくて、写真はスーダンなのだが環境というか地球温暖化を感じる写真を発表する。ぜひ感じてみてください。

そして2月に行なった湘南での写真展に引き続き、逗子と鹿児島での写真展開催も決まった。
こちらもNEWSをチェックしていただいて、お近くの方はぜひ足を運んでください。

あと、NEWSのページの下の方にある「これまでの発表一覧」も写真入りで見易くしたのでチェックしてください。

野球はWBCの準決勝が、さっき終わった。アメリカ戦にも見事に勝ち決勝戦へ。
韓国と5戦目となる決勝戦・・・なんだか? まだルール的に未熟な形の大会ではあるが、やはり始まってしまえば熱がこもる。
こういう世界大会はやはりおもしろい。ぜひサッカーのように公平なルール作りと運営を改善してもらって充実のWBCを目指してもらいたい。やはりサッカーのワールドカップの歴史には、まだまだ2回目とあってとても叶わないけれど、明日の決勝が楽しみである。

今日は、いろいろやることがあるので・・・取り急ぎNEWSを見てください。よろしくっ!!